ラップノット：北欧先住民の知恵と結びつくロープワーク技術

どうも皆さんこんにちは、ロープワークをメインにYouTubeチャンネル「ひとり親方ロープワーク」を運営しています、ひとり親方です。

2024年執筆現在、チャンネル登録者は27万人を超え多くの方にご視聴いただいています。

ラップノットとは？

ラップノットは、北欧、特にサーミ人の間で古くから伝わる伝統的な結び技術です。厳しい自然環境に生きるサーミ人にとって、ラップノットは単なる結び目以上のもので彼らにとって生存技術であり、文化的アイデンティティの象徴でもあります。この結び方は、機能性と美しさを兼ね備え、ロープや紐を用いた多種多様な日常生活の道具や装飾品に応用されています。

ラップノットの歴史的背景

サーミ人の歴史は氷河期にまで遡りますが、彼らの独自の文化と生活様式は、 厳しい自然条件である北極圏の環境に適応することで発展してきました。ラップノットの使用は、この適応の一環として見ることができ、古くからトナカイの牧畜、狩猟、漁業、さらには家屋の建築に至るまで、生活のあらゆる面で重要な役割を果たしてきました。

サーミ人の生活は、トナカイの飼育を中心に展開しています。トナカイは食料、移動手段、衣服の材料など、生活に必要なあらゆるものを提供します。ラップノットは、トナカイの標識、装具の製作、テントの建設など、これらの活動を支えるために欠かせない技術です。この結び技術の精度と強度は、厳しい気候条件下でもサーミ人とトナカイの生活を守っています。

ラップノットの結び方

結び方自体はとてもシンプルで簡単です。

ロープの片方を折り返して持ち、もう片方は端を持つ

折り返し部分の上に端ロープを掛ける

折り返し部分を握っている手で端ロープを捻る

折り返しに１周巻き付けて表へ返します。

ループから手を通し受け取る

この時、端ロープを折り返し引き解けにします。

引き締める

ラップノットの完成です。

一連の動きを動画で確認されたい方はこちらをご覧ください。

構造と小話

ラップノットは、一重継ぎ（シートベンド）、もやい結び（ボーラインノット）とも密接に関連しています。これらはすべて結び目が同じ構造を共有していますが、4 つの端に荷重がかかる方法が異なります。詳細については動画で解説しています。英語のウィキペディアによるとラップノットは「偽シートベンド」と呼ばれることもありましたが、シートベンドの方が世界的に認知されているという観点からその人気の低さを説明している可能性があります。しかし、実際にロープを手に取って結び方を習得すると、決して「偽シートベンド」とは呼ばせない、価値の高さを私は感じています。ですので、出来るだけこの素晴らしいロープワークが未来に残るよう、こうして記事に書いたり動画にまとめたりしました。サーミ人という先住民族の素晴らしい伝統と技術が風化されないことを願います。

ちなみに、最近アウトドアやキャンプの場面で登場する木製のカップ「ククサ」ですが、ククサはサーミ人とも密接な関連があります。チャットGPTの説明によると、「ククサ（Kuksa）は、サーミ人（北欧の先住民族）の文化に非常に密接に関連しています。ククサは、伝統的なサーミの木製カップであり、しばしばレンディアンディアン（Reindeer Sami）や他のサーミの集団によって使用されてきました。これらのカップは、サーミ人の生活様式、文化、そして彼らが自然との関係をどのように築いてきたかを反映しています。ククサは通常、一片の木から削り出され、非常に丈夫で使いやすいものです。また、しばしば特別な儀式や伝統的な飲み物を飲むために用いられます。そのため、ククサはサーミ人の文化における重要なアイテムの一つと見なされています。」とありました。サーミ人の文化は現代の日本においても身近な存在だったのですね。

→カーリーバーチ製のククサ（アマゾン）

まとめ

ラップノットは、単なる結び技術以上のものであり、サーミ人の文化、歴史、そしてアイデンティティを象徴しています。長い年月の間、彼らの生活に密着し手助けしてきたラップノットの技術は、サーミ人のみならず現代社会の私たちの生活においてもより豊かなものとしています。最後までお読みいただきありがとうございました。

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