アイスプライス入門:初心者が簡単にロープに輪を作る方法
どうも皆さんこんにちは、ロープワークをメインにYouTubeチャンネル「ひとり親方ロープワーク」を運営しています、ひとり親方です。 2024年執筆現在、チャンネル登録者は27万人を超え多くの方にご視聴いただいています。
今回はロープを編み込んでロープの端に輪を作る「アイスプライス」という技法をご紹介します。
販売されているロープの端にはこのように編み込んで輪が作られているものが多いですよね。
一体どのように編み込まれているのだろうかと興味を持たれた方もおられると思います。このアイスプライスにはいくつかのバリエーションがあるのですが、その中でも比較的容易で初心者の方にも分かり易い方法がありましたのでそれをご紹介します。
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アイスプライスの技法は古くから知られており、その起源は明確ではありませんが、航海技術の発展と密接に関連しています。古代の船乗りたちは、船の操作や荷物の固定に多くのロープワークを必要とし、その過程で多様な結び目やスプライス法(編み込み)を発明・改良してきました。アイスプライスもその一つであり、特に航海ではロープの端に目(アイ:eye)を作り、帆を掲げたり、船を係留する際に使われていました。
魅力
アイスプライスの魅力は、その実用性にあります。結び目に比べてスプライスは、ロープの強度をより維持します。一般的に、結び目を作るとロープの強度が落ちることがありますが、アイスプライスの場合、ロープの強度を80%以上保持できると言われています。
結び目に比べてスプライスがロープの強度をより維持するという事実は、多くのロープ製造者や航海、登山、レスキュー活動などの専門家によって広く認められています。この理論の根拠は、結び目がロープに不均一な圧力を加え、その結果、ロープの一部に過剰なストレスが集中することにあります。
これに対し、スプライスはロープの繊維を均等に分配し、繊維間で力を共有するため、ロープの強度がより維持されます。また、アイスプライスによって作られたループは、解ける心配がなく、使い勝手が良いという特長もあります。
方法
では初心者の方でも簡単に編み込むことのできる方法について、画像付きで説明します。
後ほど動画のリンクも貼付しておりますので、動画で確認されたい方はそちらをご覧ください。
①ロープの端の撚りを解く
今回は説明しやすいように、解いたストランド(撚りを解いた紐)に色テープを巻いています。
下側から出てきているのが左のストランド
上側から出ているのが右のストランド
これら両端のストランドに赤テープ、真ん中が黄テープです。
ストランドは20㎝くらい余っていると良いと思います②輪の大きさを決める
輪の大きさを事前に決めます 輪の大きさが決まったら、そのポイントのストランドを1つ緩めて穴を広げます③赤ストランド2本を通す
黄ストランドは入れないでください(上側に交わしておく) 軽く引き締めておく(赤ストランドが通った状態)④赤ストランドを通したストランドを交わして、次のストランドに黄ストランドを通す
画像で見ると、上側にあるストランドを緩めて穴を広げます これが1サイクルになります。1回目が終了しました。 赤ストランド2本と黄ストランド1本が通し終わった状態 ここで3本のストランドをそれぞれ均等の力でしっかりと引き込んでおいて下さい。強く引き過ぎると撚りの形が崩れてしまうので、3本とも同じ力で引いてください。緩みが出ないよう注意してください。 このサイクルをあと2回、合計3回行います。⑤2回目、黄ストランドを通したストランドを交わして、次のストランドを緩める
そこに左の赤ストランドを入れる 黄ストランドは上側に交わしておいて、同じ場所に右の赤ストランドを入れる 赤ストランド2本を通し終えた状態 黄ストランドは通さず上側に交わしている⑥赤ストランドを交わして、次のストランドに黄ストランドを入れる
作業としては1回目と同じです 出てきた赤ストランド2本の間を通ります 2回目の終了です⑦3回目、同じく赤ストランド2本を通す
同じく前の黄ストランドを交わして左の赤ストランドから 続いて黄ストランドを上側に交わして右の赤ストランド⑧赤ストランドを交わして次のストランドに黄ストランドを通す
これで3回目の終了。3セット編み込みが終わりました⑨ストランドの始末
あともう一回、右の赤ストランドのみを同じように黄ストランドを交わして次のストランドに入れておきます。 こうするとストランドすべてが1方向から出てくるようになります。 このように処理することで、ストランドの数が徐々に減り先細りの形になりますので、編み込んでいる部分とそうでないところの段差を滑らかにすることが出来ます。 このあと収まりがよくなるように、編み込み部分を足で踏み転がし、よく引き込んでおきます。 引き込むときは3本とも力が均等に加わるように引いてください。バランスが悪いと撚りが崩れてしまうことがあります。 少し余らせてストランドを切り、炙って止め圧着します。→使用しているオイルライター:ロンソン社バンジョーの商品情報はこちら
これですべての工程を終了しました。アイスプライスの完成です。 テーパーリング(先細り)も施しましたので仕上がりがきれいです。 画像なら1つ1つの映像を静止画でゆっくりと確認できると思い今回ブログを書きましたが、動画で確認されたい方はこちらをご覧くださいまとめ
いかがでしたでしょうか?両端のストランドを同じ場所に通して、真ん中のストランドを隣の場所に通すという覚えやすい方法をご紹介しました。 重要なポイントとしては1セット目が終えた時に、しっかりと3本のストランドを均等な力でしっかりと引き込むことです。 ここが緩んでいると仕上がりも緩んだ状態になり強度が落ちてしまいますのでご注意ください。 この記事がご参考になりましたら幸いです、最後までお読みいただきありがとうございました。人気ブログランキング
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